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藪内休々斎宗匠が蛇籠の画賛をしておられ、内容がおめでたい内容となっております。宗匠の自筆ですので、正式なお茶会にも安心してお使いになれます。左側の蛇籠の網目から流れる川、右側に賛、そして「休々斎(花押)」の署名がございます。若干巻きジワがございます。少なくとも御染筆から100年以上経過しており、表装もウブな紙表具仕立てですので経年変化とお考え下さい。上下及び中廻しの紙表具は現在ではあまり使用されない貴重な材料です。写真でご確認ください。
◇蛇籠(じゃかご)・・・水辺をあらわすものとして、日本の伝統文様として様々な作品の意匠に用いられています。実際は中に石が詰められているのですが、石は表さず籠の網目のみを描いております。これは蛇籠をデザインした作品に共通することです。
本来は夏を表す季語によく使われるようですが、本作品は富士の川水を表現しています。賛にもありますように新年を祝う様子が歌われており、お正月や初釜などに丁度良い内容となっております。
【原文】
奔代を 云祝故とと 聞ゆなり
とし新たなる 冨士の川水
【読み】
奔代を 言祝故(こ)とと 聞ゆなり
とし(年)新たなる 富士の川水
ほんだいを ほとほぐことと きこゆなり
としあらたなる ふじのかわみず
【訳】
年が新たとなり ここそこと(威勢のいい)祝いの言葉が聞こえてきます 清らかな富士川の流れも勢いよく流れています
紙本。木軸。時代杉箱。
高さ109㎝ 幅41.8㎝
▢ 藪内家十世竹翠紹智休々斎(ちくすいじょうちきゅうきゅうさい)
天保11年(1840)〜大正6年(1917)
茶道藪内家十世家元。休々斎竹翠紹智。名は宗恭、字は公剣、別号に竹翠・謙斎・瓢庵等。もと茶道頭兼典医の福田氏であったが、加賀大聖寺藩藪内九世宝斎没後迎えられて十世を嗣いだ。北野大茶湯を再興した。
大正6年(1917)歿、78才。
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